マンドリンをもっと身近に

雄弁な音色

 指揮者の指先と一人ひとりが奏でるマンドリンの弦が、見えない糸で繋がっているかのようだ。曲想を描く華麗な腕の動きのもと、幾重もの音が、重なったり散ったりしながら一つの曲を創り上げていく。マンドリンは抱えると腕の中に隠れてしまうほどの小ささだ。けれど、人間で言えば、繊細にゆれる吐息のようなやさしい声から、力強い叫びまで、全ての音を表現できる稀有な楽器でもあることを知る。
 同団は、長野市にある篠ノ井高等学校ギター・マンドリンクラブのOBOG会が母体となって4年前に結成。東京と長野の二手に分かれて練習をしているが、それをまとめているのが、主宰者であり指揮者でもある土屋美奈子さん。「とにかく人柄にひかれて」「どうしても土屋さんの指揮の下でマンドリンを弾きたかった」といった声があちこちから聞こえてくる。

厳しく、そして楽しく

 時には楽しく気軽なポップスも演奏する。が、「玄」が主に取り上げるのは、クラシックとマンドリンのための楽曲が中心で、難易度の高い曲も多い。練習は正直かなりハードだ。数時間、ほとんど演奏し続ける。奏者の注意をそらさず、的確に指示。練習中は、真剣勝負の中にも笑いが絶えない。土屋さんは高校生を指導したり、自身のマンドリン教室なども主宰し、しかも主婦だ。多忙を極める。メンバーも、同じく時間をやりくりして練習に参加する主婦層が多い。「とにかくマンドリンに触れていたくて」という思いが、その音の豊かさに表れている。 同団は11月29日に、3回目となる定期コンサートを軽井沢の大賀ホールにて開催。最後の調整に向けて余念がない。クラシックに興味がなくても、初めて聞く人でも、気がつけば夢中させる不思議な魅力をマンドリンは持っている。聞かず嫌い?は大損だ。芸術の秋。演奏会に足を運んでみてはいかがだろう。

<信濃毎日新聞別冊「とわいえ」掲載>

「玄」主宰・指揮者 土屋美奈子について

 篠ノ井高校・駒澤大学を通じてギター・マンドリン(以下GM)クラブに所属。学生時代は平山英三郎・山口吉雄両氏にマンドリンを師事。現在、土屋マンドリン教室、篠ノ井高校GMクラブOGOB会常任指揮者、日本マンドリン連盟会員、全日本高等学校GM音楽振興会個人会員、同長野県支部理事、篠ノ井高校GMクラブ及び上田染谷丘高校GM班外部講師。’06年11月よりマンドリン合奏団玄を主宰、指揮。県内外にて活躍を期待される。

3人の団員による気ままブログ(いちおう当団公認)

 団員その壱【つたえつ】と、放浪の旅から帰ったその弐【TGS/NISHITAKA】、そして演奏大好きなその参、ドラ娘【えむこ】の3人の記者が入れ替わりたち替わりでお送りしてまいります。「今日はどいつだ?」もあわせてお楽しみくださいませ♪


 >>>マンドリン合奏団「玄」公式ブログ※現在休眠中

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