主宰土屋からのご挨拶

 マンドリン合奏団「玄」は、長野県下の高校で唯一、全国高校ギターマンドリン(以下GM)フェスティバルに第1回から参加してきた、長い伝統を誇る篠ノ井高校(以下篠高)GMクラブの卒業生が創った団体、篠高GMクラブOGOB会を母体として生まれました。

 このOGOB会が開催する現役高校生との合同演奏会で長年指揮者を務めてきた私と、コンサートマスターを引き受けることの多かった宮本を中心に、二人の目指す音楽に共感し、共に演奏することを望んだメンバーが地域を超えて集まる場所を求めたことが「玄」結成のきっかけの一つとなりました。私自身の中でも、音楽に対しての考え方を理解し合える仲間と一緒に表現したいという想いがどんどん大きくなって行ったわけですが、いざ、一つの団体を立ち上げるとなると、当初は常識的に考えて、長野と関東一円をまとめるのは距離的に非常に難しい、距離の壁はなかなか超えられないと思われました。

 しかしある時、ふと篠高OG会に立ち戻って考えました。「OG会では長野地区・関東地区にわかれて練習してきたではないか!」と。それに気づいた瞬間、マンドリン合奏団「玄」は現実に姿を現すこととなったのです。

 長野・関東の広域にわたって生活し、それぞれにわかれて練習しているからこそ起こってしまう問題、乗り越えなければならない課題があるのは当団ならではです。この点、普通のアマチュア音楽団体より厳しい状況であることは間違いありません。しかし、私は「どこで」より「だれと」音楽を作るのかを大事にしたいと常々考えていますし、団員同士も、一堂に会することができる数少ない機会を心待ちにしながら日常の練習を進めています。いつでも会えないからこそ、互いへの想いがつのるのでしょうね(笑)。

 メンバー一人ひとりが抱える家庭や仕事の事情、「玄」であるからこそ起こる様々な問題……。それらすべてを芸術的な成長に変え、またその時々の自分たちの有り様をマンドリン・ギターとともに音楽を織りなすことにこだわった活動をこれからも続けて行きたいと思っています。

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